5月 22, 2011 - 1 Comments - textiledesignnotes -

番手とスーパー2


糸の太さの単位について、前回の続きです。
 
番手、デニール、セカント(μm  1/1000mm) の関係がどのようになっているか考えます。
前回はこちら

まず、番手とデニールで比較します。
それぞれを比較しやすいように、基準となる重さを 1g にして考えてみます。
 
ざっと計算していくと
 
綿番手の場合
1ポンド(453.6g)、840ヤード(768.1m)で1番手なので
1g あたりで考えると 768.1/453.6 ≈ 1.693m で1番手となります。
 
麻番手の場合
1ポンド(453.6g)、300ヤード(274.3m)で1番手なので
1g あたりで考えると 274.3/453.6 ≈ 0.6047m で1番手となります。
 
毛番手の場合
1kg 、1km のときに1番手なので
1g あたりで考えると 1m で1番手となります。
 
デニールは
9000m 、 1g のときに1デニールです。
 
 
つまり、綿番手が1番手のとき
麻番手の 1.693/0.6047 ≈ 2.8 番手に相当し
毛番手の 1.693/1 ≈ 1.693 番手に相当し
デニールは
9000/1.693 ≈ 5314.9 となります。
 
綿番手が2番手だと
麻番手 2.8×2 ≈ 4.9 番手
毛番手 1.693×2 ≈ 3.386 番手
5314.9/2 ≈ 2657.5 デニール
になります。
 
同様に他の各番手とデニールの関係は

麻番手が1番手のとき 
綿番手の 0.6047/1.693 ≈ 0.3571 番手に相当し
毛番手の 0.6947/1 ≈ 0.6047 番手に相当し
デニールは
9000/0.6047 ≈ 14882.9 となります。
 
毛番手が1番手のとき
綿番手の 1/1.693 ≈ 0.5905  番手に相当し
麻番手の 1/0.6047 ≈ 1.654  番手に相当し
デニールは
9000/1=9000  となります。
 
また、番手、デニールの関係は
1デニールのとき
綿番手の 5314.9 番手 ≈ 麻番手の 14882.9 番手 ≈ 毛番手の 9000 番手に相当し
2デニールだと、それぞれの番手の値を2で割った値になります。
 
まとめてみると以下のようになります。
  

 
例えば、a綿番手の糸は
a×1.693 麻番手に相当し
同様に a×2.8 毛番手、 5314.9/a デニール に相当することにもなります。

また、bデニールの糸は
5314.9/b 綿番手に相当し
同様に 14882.9/b 麻番手、9000/b 毛番手に相当します。
 
番手とデニールの関係がわかったので
次は スーパー~’s のセカントについて考えてみます。
 
セカント、番手、デニールを比較するためには単位が異なるので、同一の単位になるようにします。
セカントは、スーパー100’s のとき 18.5μm というように、繊維の太さ μm であらわされます。
これと比較できるように、デニールと太さの関係について考えます。
デニールの定義は
9000m の長さのフィラメント糸が 1g のときに 1デニール となるものですが
いいかえると
9000m の長さのフィラメント糸が Xg のときに Xデニール となります。
繊維の太さは一定ではないため、その繊維の断面積の半径の平均を r と仮定します。
 


 
繊維の比重を ρ とします。以上の要素より計算をすると


 
このようにXデニールの糸の太さがわかります。
これで番手、デニール、セカント(μm)の関係を大体つかむことが出来ました。
 
色々と比較をしていきます。
(それぞれの繊維の比重は 綿 1.54 麻 1.50 毛 1.32 絹 1.33)
 
天然素材で一番細い繊維は絹の 1~3デニールくらいで 10.32~17.87μm となります。
通常、絹は繊維を何本か撚り合わせてつくり、だいたい 14デニールか 21デニールの糸にします。
14デニールの糸で 33.48μm、21デニールの糸で 47.29μm
細いといわれる絹の品種の小石丸で10デニール以下程度の糸ができて、32.63μmくらい。
 
人の髪の毛は大体50デニールくらいで 72.96μm
 
綿繊維はだいた 15~25μm
50番手の糸だと106デニールだから 98.73μm
100番手で53デニールで 69.81μm
200番手で27デニールで 49.83μm
最高で300番手くらいまでの糸を紡績すること出来て、17.72デニールで 40.37μm
 
化学繊維はもっと太いもの、細いものも出来ます。
太いものだと
防弾チョッキの素材の一部に使用されているといわれるバリスティックナイロンで
1680デニールだから456.82μm (ナイロンの比重 1.14)
テグスなどだと、数千μm(数mm) くらのものなどもありますし、それより太いものもつくることができます。
細いものだと
薄いタイツだと10デニールくらいだから、綿番手で530番手くらいで 35.24μm
あまり細くなりすぎると、織り機や編み機にかけることが出来なくなります。
(数デニールくらいまでなら機械にかけることが出来るみたいです)
そのため他の方法で面状につくられたりします。
例えば人工皮革などで
0.1~0.001デニールくらいで 3.5~0.35μm (アクリルの比重1.15)
ものなどが使われています。
様々な特殊素材として使われるナノファイバーとよばれるものは
その名前の通り、ナノメートル(nm=1/1000μm) 以下の太さです。
 
といように繊維、糸の関係を少し調べてまとめてみると
 

1000μm以上            太めのテグスなど
456.82μm                 バリスティックナイロン
374.84μm                10番手麻糸
310.73μm                10番手毛糸
221.07μm                10番手綿糸
200μm                       細い注射針
167.63μm                 50番手麻糸
138.96μm                 50番手毛糸
118.53μm                 100番手麻糸
98.73μm                   50番手綿糸
98.26μm                   100番手毛糸
96.78μm                   150番手麻糸
80.23μm                   150番手毛糸
80μm                         太めのラミー(苧麻)繊維
72.96μm                  人の髪の毛
69.81μm                   100番手綿糸
69.48μm                   200番手毛糸
57.08μm                  150番手綿糸
49.83μm                  200番手綿糸
47.29μm                    絹糸(21デニール)
40.37μm                   300番手綿糸
40μm                          太めの毛繊維
35.24μm                    薄手タイツ(10デニール)
33.48μm                    細めの絹糸(14デニール)
32.63μm                    絹糸(小石丸)
20μm                          太めの綿、リネン(亜麻)繊維
25μm以下                  ステンレス、銅などの紡績するときに用いる金属繊維
20μm                          かなり細いラミー(苧麻)繊維
18.5μm                       スーパー100’s
15μm                           かなり細い綿、リネン(亜麻)、毛繊維、カシミヤ繊維
13.5μm                       スーパー200’s 細めカシミヤ繊維
13μm                           ビクーニャ、パシュミナ繊維、極細の毛繊維
10.32~17.8μm        絹繊維(絹糸1本)
3.5~0.35μm            人工皮革に用いる繊維
1.0μm以下                 ナノファイバー
 
 
太い繊維、細い繊維。
それぞれの特徴、用途に合わせて様々な太さの繊維、糸が使用されています。
このような感じで大雑把な計算でですが、今回は繊維の太さの関係について考えてみました。

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One Response to 番手とスーパー2

  1. textile × design notes » 番手とスーパー

    […] りにくいです。 綿、毛、麻、絹など単位がばらばらで、このままだと比べようがありません。   そこで、もう少し分かりやすいように各単位の関係を考えてみます。 次回に続きます。 […]

    22 5月 2011 - Reply

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