1月 30, 2011 - 0 Comments - textiledesignnotes -

繊維と帯電


寒い日が続きますね。
冬は気温が低いだけではなく、空気もかなり乾燥しています。
そんなときにやっかいなのが静電気ですね。
調べながら、静電気について考えてみました。
 
静電気といえば、ドアノブに触れてバチッとなるあれです。
この現象は身に着けている衣服がこすれて静電気が帯電して、それが一気に放電されるときに起こります。
 
生地と生地がこすれることにより、帯電するのですが、
生地の相性により帯電する度合いが異なります。
素材によって、摩擦が起きた際に〈+〉に帯電しやすい素材と、〈-〉に帯電しやすい素材があります。
素材をこの順番に並べたものを帯電列というのですが、この順番は様々な要因によりいくらかは変化します。
 
一般的に繊維で使われている帯電列を調べてみると、
 
↑ +に帯電しやすい
           
   毛
   ナイロン
   レーヨン
   シルク
   綿・麻     0?
   アセテート
   ビニロン
   ポリエステル
   アクリル
   ポリウレタン

↓ -に帯電しやすい
 
たぶんこんな感じになっていると思うのですが。
離れているものがこすれあう程に、帯電しやすくなります。
なるべく近いものならば帯電しにくいということですね。
つまり、近いもの同士を組み合わせて身に着ければ、静電気が溜まりにくくなります。
 
また、生地がこすれて摩擦が起こることにより、帯電するわけですから、
摩擦が起きないようにすれば帯電しないということにもなります。
そのために生地によっては帯電防止加工がされているものがあります。
帯電防止加工には、柔軟剤が用いられます。
柔軟剤に含まれる界面活性剤の効果により、生地と生地が滑りやすくなり摩擦が軽減されます。
また、空気中に電気を逃しやすくなります。
そのかわり、水分を吸いにくくなってしまいます。
(洗剤にも界面活性剤は含まれていますが、
それとは異なり柔軟剤に含まれる界面活性剤は繊維に残る性質があります。
そのためこのような効果が得られるようです。)
 
 普段の洗濯の際もこのことを踏まえて、柔軟剤を使っていくことになります。
 タオルや汗を吸収させてたい衣類に柔軟剤を多量に用いると吸水性が無くなってしまうことになります。
 (以前タオル工場の方に、タオルには柔軟剤はつかわないほうがいいと聞いたことがあります。)
 
また、柔軟剤といえば、染色するときには気をつけなければなりません。
柔軟仕上げされている生地の場合、水分をはじくためうまく染まらない、プリントがのらないってことになってしまいます。
 
ほかに、繊維に含まれる水分が多ければ、空気中に溜まった電気を放電させることが出来ます。
繊維に含まれる水分率は繊維に対する質量比で表されて、
(繊維の組成表示 綿50% 麻50% 等と表示されているものも面積、大きさの比率ではなくて質量比です。)
 
 ポリエステル    0.4%
 ポリウレタン    1.0%
 アクリル             2.0%
 トリアセテート   3.5%
 ナイロン           4.5%
 ビニロン           5.0%
 プロミックス     5.0%
 アセテート       6.5%
 綿                       8.5%
 絹                     11.0%
 レーヨン         11.0%
 ポリノジック  11.0%
 キュプラ           11.0%
 麻                     12.0%
 毛                     15.0%
 
だいたいこのようになっています。
水分率が高い繊維のほうが帯電しづらいということになります。
 
 
静電気を溜めないためには、以上のように
着るものの組み合わせに気をつけること、
帯電防止加工を用いること、
水分率の多いものを身につけること
等が考えられます。
このようなことを考えながら、少しでも静電気を起こさないようにしないとなあと思ったりします。

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